ツインパクト超No.1感想②
主人公が切札ジョーくんに切り替わってから超全集とそのカードリストとしての役割をバトンタッチするかたちで発売されるようになったムック、フルコンプリートBOOK。
今期後半のカードをまとめる双極篇2も、長崎ではようやく昨日、発売日より三日遅れ店頭に並び始めました。「重要な情報」そのものは距離があって無きが如きインターネット上で即座に拡散しますが、それだけではわからない、実物をみないと確かめられないものも多くあるので、この時間差にはいつもやきもきさせられます。
それでは今回は、この平成最後のフルコンプリートBOOKを見ながら感想を述べていこうかと思います。
《魔刻の斬将オルゼキア/訪れる魔の時刻》
これはきっと初代主人公切札勝舞のライバルの一人、黒城凶死郎をイメージしてデザインされたカードなのでしょう。ウルフェウスやボルメテウス同様、クロニクル世代向けのファンサービスを強く感じさせます。
黒城、彼の使うカードには彼の異名をそのまま採った「死神」と言う名称カテゴリもありますが他にも「ベルヘルデ」、ベルヘル=地獄の鐘=魔の時刻を告げるもの、つまりこのオルゼキアや、その前身となった《魔刻の騎士オルゲイト》の系譜に連なるものであろう者達もいるので、手に入ったならこの《訪れる魔の時刻》で墓地から引きずりあげてやりたいですね。
《残虐覇王デスカール/ロスト・ソウル》
公開と同時に多くのファンを爆笑させ、或いは不満の対象となった1枚。
いや、私は良いと思いますよ。何より暗黒魔術で闇文明の世界を治めてきたダーク・ロードの言う「拳で語り合える」が、熱血脳筋の火文明のように殴り合うことではなく、拳を触媒に発動する呪文であった......と、イラストで明確に表されたのは背景ストーリーファン、フレーバーテキストマニアにはたまらない答え合わせではないかと。
「語り合える」と言いながら、拳を掲げると相手は生きる意思さえなく沈黙せざるを得ないのは、まさに残虐な覇王。
《悪魔神バロム/バロム砲》
これも《訪れる魔の時刻》同様、使い手であった黒城を、もっと言うなら漫画やアニメを意識したものでしょうか。
また、マナに触れると言う点から、背景ストーリー初期に闇文明が自然文明を焦土に変えたエピソードや、大地を割って現れる《バロム・クエイク》を想起させますね。
バロム絵師として知られる一徳先生が新たに描き下ろした呪文側イラストも禍々しく美しいもので、いっそ、バロム砲だけのカードも欲しいものです。
《暗黒の騎士ザガーン/「一方的に勝つに決まっている」》
デュエル・マスターズのフレーバーテキストで最も有名なものの一つ、恐らくデュエマ七英雄発足の切欠となった覇王ブラック・モナークの御言葉が遂に現実となったことに、闇文明の民の皆さまは滂沱の涙を禁じ得ぬと予想に難くありません。
まぁ、ビックリですよね。
恐らくデュエデミー賞でのブラック・モナークの復活に伴う暗黒ぱうあーの増大が、伝説的フレーズに真の力を与えたのでしょう。闇の象徴たる覇王はただ呟くだけで、世界に大きな影響を与えるのです。インフルエンサーなんです。アルファツイッタラーなんです。
《フェルナンド・ソシュール/プライマル・スクリーム》
先行公開された商品画像から、墓地の呪文枚数に応じて自身を軽量化する魔光の騎士が、双極時代に墓地肥やし&回収呪文を引っ提げて復活か……と思わせておいて、実際はハインリヒ・ダーマルクに良く似た能力を持つ影の者系マフィギャングでしたね。
まぁ、ツインパクトが普及し呪文が墓地に増えやすい今、下手にそのようなカード出すと収拾がつかないでしょうしね。
フレーバーテキストに書かれてる「バニシングポイント」、このクリーチャーの名前の元になった言語学者の人が唱えてる学説か何かかと思ったら、プライマルスクリームというロックバンドのアルバムなんですね。うむむ、浅学で恥ずかしい……
《凶鬼12号 ジャーゴン/邪魂創世》
10番台では二体目となるツインパクトカードの凶鬼、ジャーゴン。途中までは法則性があったように見えたのに最近、それが揺らぎ出して困惑の限りです。
多くの凶鬼が人型生物に凶器を埋め込む様なデザインなのに対し、このジャーゴンは人型生物が岩塊(オリジナル邪魂創世に描かれていた生贄の石台)に荒々しく埋め込まれ、胸を岩の刺で抉られ、まるで自壊することそれ自体を目的に造りだされたような、猟奇的なデザインをしています。
もともとこの岩塊を凶鬼に、60番台の自壊クリーチャーとして創造された者の、意図せず50番台に近い破壊誘発型の呪文も備えたため、特別措置として10番台として登録されたのかもしれませんね。
《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン/ボルメテウス・レジェンド・フレア》
このパックの「顔」の一つとして扱われている一枚。ボルメテウス伝説の象徴とも言える能力が呪文として組み込まれています。
シールド焼却呪文自体はこれまでも幾度か収録されていますが、このレジェンド・フレアは低パワーのクリーチャーもついでに焼き払う効果を持ち、ボルメテウス本体のアタックをサポートするのが良いですね。蒼炎のアンブロッカブルも、攻撃誘導や攻撃中断で必ずしも成功する訳ではありませんし。
ただ、昔ながらのハイランダーボルコン使いの方にとっては悩み所の一枚かもしれませんね。ツインパクトは入れちゃ駄目とか、双極ボルコンと通常ボルコン共存させちゃ駄目、とか各々色々な拘りがあるデッキタイプでしょうし……
《マグナム・ルピア》
ボルメテパックを出にくい枠に押し込んだ憎い焼き鳥さん。
ファイヤー・バードがここまでメタに絡んだ能力を引っ提げて新録されるのは、ちょっと不思議な感じがしますが、これも時代でしょうか。
ガンマン姿のルピア、ということで勝舞くん、勝太くん、ジョーくん何れの世代にも馴染みやすい絵柄なのは良いかもしれません。
個人的にはキャプテン・ドラッケン用に何枚か欲しいですねぇ
《ボルシャック・クロス・NEX/ボルシャック英雄譚》
覚醒獣を除けば勝舞時代最後のボルシャック、クロス・NEXに、ボルシャックの足跡を綴る「英雄譚」の呪文を組み込むのは美しく格好いいですね。
ただ、明らかにボルシャックの系譜ながらボルシャックの名前を持たないため、この呪文で呼び寄せられない超竜ザシャックはちょっと憐れですね。まぁ「シャック」にしてしまうとゴーゴンシャックやシャックルアーマまで英雄譚を騙られてしまうので仕方のないことですが。
《ボルシャック・ドラゴン/決闘者・チャージャー》
ボルシャックの名称サポートが増えるほど、大和やNEXの下位互換としての性質が浮き彫りにされてきた初代ボルシャックですが、遂にその状況を覆す時が来ましたね。
呪文の効果も「初代ボルシャックがいなければボルシャックの歴史は始まらない」と言わんばかりの、初動に相応しい効果で、効果そのものがフレーバーテキストと言って過言ではないだけでなく、他のドラゴンデッキにも入り得るつぶしの効く調整なのが素晴らしいですね。
とは言え、恐らく活躍は呪文面に限られることと思いますが……そこは、古参兵は新しい時代の礎を自ら買って出た、とでもお考えください。
そう言えばこの決闘者・チャージャー、上記のボルシャック英雄譚と一繋ぎのイラストになっているんですが、ボルシャック・メビウスって初代ボルシャック本人が覚醒した存在だ……という設定があった気がしたので、ここに描かれているボルシャックは二代目かもしれませんね。
G.O.D.と並び、数少ない勝太君世代からのリメイクカードですね。
最初、バイザーと青い髪を見た時はグレンモルトかと思ったのですが、どうやら仰天無双 鬼セブン「勝」をモチーフにしたドラゴンギルドのようですね。
さて、この「鬼セブン「勝」のドラゴンギルドだった」と言う事実は背景考察の上で結構重要な情報です。何故ならこの鬼セブン「勝」、エピソード2で鬼丸と共に主役級の扱いを受け、最終的に《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》へと進化したドラゴン、《鬼無双カイザー「勝」》と同一人物であり、彼は既に一度、ドラゴンギルド化しているからです。
え?そんなものはいない?
いえいえ、よく思い出してください。
「デュエマは頭脳の格闘技」の格言を体現したあのカードに描かれていたドラゴンを。
《勝利宣言 鬼丸「覇」》。あれは名前こそ「鬼丸」ですが、描かれているキャラクターの比率、ガチンコジャッジで攻撃力を増大させる能力などから、実際は7:3で鬼無双カイザーと言って良いカードの筈です。
そして「覇」は既に《勝利龍装 クラッシュ「覇道」》としてドラゴンギルド化している……
さて、もうお分かりでしょう。普通に考えれば同一人物の遺骨が複数存在するのはおかしいと。ならば導き出される答えはそう多くありません。
そう、ドラゴンギルドの諸氏はあたかもかつての名高きドラゴンの遺骨を身に纏っている風ですが、実際に本人の骨を纏っているのは恐らく半分にも満たない筈です。飽く迄もそれっぽい骨をまとい、おぼろげな伝承に擬えた名前を名乗っているだけなのです。
トマトのガワになったリュウセイとか、ちょっとイヤでしょう?
《アーチャー・チュリス/ボルカニック・アロー》
動画では剣で出来ていた云々のテキストをネタに使わせていただいたものの、実はあんまり触れたことがないのでよくわからないんですよね。
倒してしまって良くて、ゲイボルグを持ってる人でしたっけ?
アーチャーなのに槍使いなのか……と言う気持ちも無いではないですが、ブリューナクとかグングニルとかゼウスの雷霆とかトリシューラとか、投げれば当たる系の投げやりな神話があちらに兎に角多いのは、人類が狩猟採集していた時代に投槍がクソ上手かった人を神格化した結果でしょうから、まあ、そんなもんなのかな、と。
最も、チュリスのほうのアーチャーはちゃんと弓を構え、真っ赤に燃える矢を撃ち放ってますが。
《ほめほめ老/ホメホメ老句》
上にあったプライマルスクリームから判るように、デュエマ開発部には洋楽やロックが好きな方が何人かいらっしゃるようですが、まさかホネホネロックが元ネタに選ばれるとはなかなか予想外ですね。懐かしい。
ボーンも踊り出しそうな枚数墓地が肥やせて大変すばらしい。すごいのう~
では、ちょっと長くなりましたが今回はこれにて。
次回は自然文明と、印象に残った再録カードでも。